ブラインドネス
始まりは一人の男から。交差点の車中、突然視界が白くなりパニックに陥る。やがて彼に触れたた者たちも次々と失明してゆく。原因不明の感染に、政府は発症者を厳重に隔離した。その中には夫の身を案じて紛れた、なぜか感染を免れている女がいた。
見えない物の恐怖、見えない者の恐怖を描いたパニック・サスペンス。災厄を描くなかにも、風刺的な内容が別の恐怖を連想させる。多国籍なキャストも、どこか意味ありげだろう。それにしてもスケールの大きなパニック映画と思ったら、閉鎖された空間での心理的なサスペンスが重たい気分にさせる。
物語は原因不明の失明が感染するかのように広まり、人々はパニックに陥った。対処しようがない事態が実際に起きたなら?そのとき人々は・・政府は・・あながちフィクションにも思えず恐ろしい。そこで劇中では、感染者は強制的に隔離されることになる。療養所といいながら、軍に包囲された施設には盲人しかいない。逃げだせば射殺されるという、まるで収容所である。生きてゆくことさえままならないはず。
そんな極限状態のなかドラマとして面白いのは、最初に発症した男と診察した医者、どさくさに紛れて車を盗んだ泥棒など微妙な関係の者たちが共同生活をすることになった。唯一見えている女性の視点が異様な世界を印象付ける。不思議に思えるのは、施設では名前も必要ないのだろうか、誰も聞こうともしない。もはや立場をこえ、人種も性別も関係ない。すべてがリセットされた世界なのだろう。姿は見えなくても心は通じるようで、助け合う姿には少なからず希望を見いだせるはず。
しかし、やがて見えてくる人の負の部分。外界から遮断されたなかで起こる出来事は、特別なことではないようだ。環境に適応をはじめると、力を持つものが食糧を牛耳り、欲望と暴力でこの世界を支配する。それにしても閉鎖された世界で金品を欲しがるとはナンセンスだが、これが人間の欲望なのか・・・。病棟間の対立は抗争へと発展してゆくあたり、現実世界の様々な問題とも重なって見える。視点を置き換えれば、まるで世界の縮図のよう。
もっとも、劇中では外界も崩壊してしまった。最後には視力が回復するという希望をみせるものの、荒廃した世界に希望を持てるだろうか。まあ、見えるモノだけが全てではないのかもしれない。 (-_-X)
評価:![]()




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