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April 2008

大いなる陰謀

Lions_for_lambs 上院議員アーヴィングに呼び出されたジャーナリストのジャニーン。それはアフガニスタンで始まる対テロ作戦の情報と引き換えに、好意的な報道をするように持ちかけるものだった。しかし、時を同じくして開始された作戦は、思わぬ事態に遭遇していた。

 9.11以降、テロとの戦いが叫ばれて久しいものの、いまだ終わりは見えない。この作品が突き付けるのは、対テロ戦争の裏側と、それに命を懸ける兵士の現実である。はたして真実を知ることはできるのか?情報は操作され、さまざまな思惑も絡んでいる。伝えられる情報は正しいとは限らないのだろう。ここでは野心を抱く上院議員アーヴィングが、作戦情報のリークと引き換えに、好意的な報道をジャーナリストにもとめた。先の戦争報道を反省するジャニーンである。そこに裏があることを読み取り、何を報道すべきか苦悩している。真実を伝えること・・、それは彼女の戦いであろう。
 別の立場では、無気力な学生を導こうとする大学教授のマレーの姿がある。この作品の監督でもあるロバート・レッドフォ-ドが扮する役どころは、かつての戦争の経験から、学生を・・そして社会を良い方向へ導こうと苦慮している。駄目な学生を諭す場面が物語の要所で挿入されているわけで、それは見ている側へのメッセージのようである。
 実際に戦う兵士の立場をみれば、アフガニスタンで始まった作戦には、マレーの教え子で優秀な学生アーネストとアリアンがいた。二人は討論の場で提案した考えを行動に移し、軍への入隊を志願している。しかし、彼らの理想に対して現実は厳しい。作戦は思わぬ事態に遭遇し、敵地に取り残される二人である。大義のもとでは小さな犠牲なのだろうか。正義とは?犠牲の上に成り立つものは?戦う意味が見出せず釈然としないものを感じるはず。アーヴィングの行為は、大統領選出馬への足掛かりとして、まさに陰謀といえそう。戦場の兵士の立場では、「羊たちに率いられたライオンたち」と皮肉った原題の意味が的を得ているようだ。
 ここでは政治家にジャーナリスト、大学の教授と学生をとおして、それぞれの戦いを見ることになる。映画の中の話ではないのは確かなようで、現実のことであれば彼らは何と戦っているのだろうか。もっとも、それは一国だけの話でもないし、世の出来事を見るかぎり決して他人事には思えないものだ。


評価:moon1

ブラックサイト

Black FBI特別捜査官のジェニファーは、動物虐待を中継するウェブサイトの調査をはじめた。捜査が行き詰まるなか、サイトは誘拐された男の殺人中継へとエスカレートしていく。それは、アクセス数とともに装置が作動し、死に至るというものだった。

 あらゆることがネットで可能な現在、ついに殺人までもが起こるという究極のネット犯罪を描いたサイバー・スリラー。仮想と現実の境界が曖昧な世界は、おもわぬ犯罪を生み出すのだろうか。サイトのアクセスカウンターは注目度を計るものだが、ここでは殺人の道具になっている。『kill with me?』(一緒に殺す?)というサイトで行われる公開殺人。犯人の作り出した殺人マシンと、その手口は目をそむけたくなる残酷なもの。薬物でじわじわと死に至らしめるわけで、苦しむ被害者をウェブサイトは映し出す。それでも上昇を続けるアクセスカウンターが、なんとも恐ろしい。
 それに対してネット犯罪捜査官の登場である。広がるネット犯罪は、取り締まるエキスパートによって防げるのか?ジェニファーたちと犯人とは攻防を繰り広げるものの、知能犯に翻弄されっぱなしのようだ。サイトを閉鎖しても次々とコピーが現れ、他国を経由されては防ぎようのないのが現状だという。でも、殺人マシンはアクセスされなければ作動しないはず。そこでサイトを見ないように訴えるわけだが、噂が噂を呼びアクセスが飛躍的に増えてしまう。皮肉にも人の好奇心が凶器となり、殺人マシンを加速させる。つまり、ほんの1クリックが殺人に加担することになる。確かにそれが現実のようで、ネットの影の部分ばかりを見るようだ。もっとも、ネットは便利な道具にすぎず、それを使う人の影の部分かもしれない。
 この映画のなか、犯人の怖さはもちろんのこと、アクセスする世界中の人たち、見えない意思のほうが恐ろしく思える。殺意なのか?好奇心なのか?いずれにしてもネットの力、集団となった力の大きさを見れば、映画の話であっても現実に起こりそうで怖い。劇中ではネットの危険性を指摘しているわけだが、可能性も示してほしいところ。
もしも現実となったなら、あなたならアクセスするだろうか。

評価:moon2

クローバーフィールド/HAKAISHA

Cro 日本へ赴任することになったロバートは、友人たちの開いたサプライズ・パーティに招かれた。その最中、突然衝撃が襲い、ニューヨークは謎の巨大生物に襲われる。混乱する街から、彼らは逃れることができるのか・・・。

 映像作家J.J.エイブラムス製作のパニック映画。公開直前まで題名さえ明かされず、情報が伏せられた異例の作品である。ポスターを見るかぎり怪獣映画のようにも思えたが、実際に見なければ何が飛び出すやら、破壊者とは何なのか説明も難しい。もっとも、破壊者として登場する巨大生物が何かも明かされてはいない。主要な登場人物のドラマらしきものはあっても、事件とは関連ないのである。訳が分からぬまま、ただ逃げ惑う。突然訪れるからこそのパニックというもの、それを見せる映画なのだろう。古典的SF作品を現代にアレンジしたようにも思えるが、まさにパニックを疑似体験するかのようだ。
 そのあたり、作品自体が事件の後に回収された記録映像という設定である。ハンディカメラがパーティを映し、続いて記録されていた事件の一部始終。ときに激しく揺れる映像は、その場に居合わせた一人の視点というしかけ。全編がこの手法で表現されていて、映画の注意事項のとおり気分が悪くなりそうだ。アトラクションタイプの作品というだけに、何が起こるのか予測不能、ゆえに現実には有り得ないことが妙にリアルに見える。これでは、ネタがばれては面白さ、いや、恐怖も半減してしまう。作品情報が伏せられていたのも納得である。
 それにしても気になるのは、事件の後の世界である。人類はどうなったのか?すべてが破壊されてしまったのだろうか。それすら分からない。ここでの破壊者とは、もちろん謎のモンスターのわけだが、それに対して軍隊も輪をかけて街を破壊しているようだ。見方を変えれば、人間そのものが破壊者ではないかともとれる。まあ、謎ばかりの作品に、いろいろ意味するものを見出したくなるもの。
 この作品が映画の常識を破壊してしまったようで、斬新な試みは興味深い。でも、壊しっぱなしでは物足りない。もしや、別の記録映像があるのだろうか。できれば何らかの答えをみせてほしいものだ。


評価:moon3

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