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February 2008

エリザベス ゴールデン・エイジ

Golden イングランドの女王・エリザベス1世は、王位についてもなおカトリック派からの暗殺の危機にさらされていた。そんな折、彼女は航海士のローリーにひかれる。しかし、彼女を試すかのように強大な海軍を率いるスペインが迫る。

 前作から9年、エリザベス1世の歩む激動の時代を描いた歴史大作の続編。主演のケイト・ブランシェットが引き続き女王エリザベスを演じている。前作では宮中での陰謀に各国の策略から暗殺の危機にさらされ、恋に政治にと途惑う若き女王の姿が印象に残った。憂いを絶つため、最後は国と結婚するという未婚の誓いをたてたわけで、今作では『ヴァージン・クイーン』がその後の黄金時代を築くまでを描いている。もっとも、歴史上の人物として年表をたどれば数々の波乱が伺える。しかし、未婚を通した理由は見つからない。そのあたり、さまざまな解釈をされるところであって、ここでは運命に翻弄される微妙な女心を描き出しているようだ。
 今回、時を経て再びスクリーンに登場となったエリザベスである。威風堂々、絢爛豪華?そこには君主として強い意志を示す姿があった。ケイト・ブランシェットも、年を重ねた女王を好演している。前作よりも非情さも見せるが、弱みを見せれば女王とて立場が危うい。とはいえ、自信に満ちた女王の顔とは別に、一人の女性としての苦悩も描かれる。心のせめぎ合いは、歴史のターニング・ポイントとして作品の見どころであろう。そこには、自由に生きる航海士ローリーとの恋がある。もはや自らにかせた未婚の誓いのため、身代わりに侍女を近づけるとは、なんとも切ない恋物語である。
 それでも、陰謀、宗教対立に暗殺の危機は、月日を経ても変わってはいない。彼女の決意に対して、クライマックスではスペインの無敵艦隊が押し寄せる。このとき甲冑をまとい兵士を鼓舞する姿は、女性であることを捨てて国と添い遂げる誓いのようだ。結果として、彼女が嵐を呼んだのかはいざ知らず、スペイン艦隊を打ち破っている。この戦いののち世界の海を支配するわけで、まさに黄金時代の幕開けであろう。それでは、女王としての地位を全うした彼女にとって、はたしてゴールデン・エイジであったのか?歴史の謎は彼女の心の中にあり、解き明かせそうにない。

評価:moon1

L change the WorLd

L 自らの命と引き換えにキラ事件を解決した探偵L。そのころ、タイで小さな村が消滅するという事件が発生した。ワタリから託された少年により、世界を崩壊させる、ある陰謀が進行していることを知る。残された23日間を懸けて、最後の事件を追う。

 06年のヒット作『デスノート』から、探偵“L”を主人公にスピンオフした作品。もとの作品では、夜神月のライバルとして松山ケンイチ演じるLの個性的なキャラが印象的だった。再び活躍が見られるのかと期待するところ、まるで別の作品のようである。キラ事件の後23日間の出来事というリンクした物語であるが、デスノートの世界からは抜け出てしまった感じだ。異彩を放つ主人公も、ライバルがあっての存在感ではなかっただろうか。スピンオフ作品として、よく言えばLの知らない一面を見ることができるのだろう。でも、できればLらしい頭脳戦を観たかった。スケールも大きくなり、どこかで観たアクション映画のようだ。まあ、それはそれで楽しめるのだろう。
 物語には環境問題、テロといったところに人間の欲望も入り込み、人類の抱える問題を垣間見る。ここではウィルス兵器の登場に、人類存亡の危機が迫るという。人間が作り出した死神に例えるわけだが、作り出した人間のほうが恐ろしい存在かもしれない。対して世界を救う鍵を握るのは、タイで生き残った少年と研究者の父から薬のデータを託された少女。そして二人を守ることになるLなわけで、それぞれ共通するのは大切な者を失った悲しみを抱えていること。Lに残されたわずかな時間のなかで、3人が立ち直り成長するドラマがここでの見どころであろう。不思議キャラのLが体を張った活躍をして、二人を守ろうと奔走している。彼は変わったのだろうか?
 このシリーズでは多くの死に直面するわけですが、前作での彼の死も衝撃的だった。でも、生と死の価値観について語られることは無かったのではないだろうか。今作での彼は、死を目前にして生きることのすばらしさを見つけている。新世界の神はいなくても、希望を見せてくれたはず。もっとも、デスノートがあったなら、事件は簡単に解決できたかもしれませんが・・。


評価:moon3

アメリカン・ギャングスター

Gang 1968年のニューヨーク、地元住人に慕われる黒人ギャングのボスが急死した。運転手として仕えていたフランクは、新しい麻薬ルートを開拓し麻薬王へとのし上る。一方、汚職が横行する警察内で不正を嫌う刑事リッチーは、新設された麻薬捜査班に転属となった。

 麻薬王と麻薬捜査班の攻防を双方の視点から描く、実話をもとにした作品。オスカー俳優デンゼル・ワシントンとラッセル・クロウの共演が注目される。一見してストーリーはよくある話でも、実話としての時代背景が面白いところ。それは昔の話とはいえ、警察内で汚職が公然と行われていることに驚ろかされるはず。横領に賄賂にゆすり、署長から末端まで悪徳警官で繋がっているとは、これもりっぱな?組織だろう。ある意味ギャングと変わらないようだ。
 そんな時代に、ボスの死によって転機を迎えるフランク。新たな生き方を迫られた彼は、長年仕えたボスに習い、NY一帯の麻薬を牛耳る組織を作り上げる。そして身の回りを兄弟たち親族で固め、地味に振舞い警察の目から逃れる賢さも。しかも、マフィアのルートを通さず、生産地から質の良い麻薬を買いつけて安く売る。質を落とすマフィアを嫌うあたり、まるで経営者のよう。それなら別の生き方もあったのではなかろうか。
 一方、汚職の横行する警察内でつま弾きにあうリッチーは、賄賂を受け取らない部下で固めた麻薬捜査班を指揮することになった。しかし、利益に群がる悪徳警官がいるかぎり、麻薬の問題は解決されるはずもない。ここではアメリカの犯罪組織と警察組織の構図から、閉鎖的な組織の強さと弱さを垣間見るようだ。対象的な立場にあっても、どこか似た境遇にも見える二人に、何が正義か疑問に思えてくる。まあ、それぞれのサクセス・ストーリーとして面白いが、釈然としない部分も感じられるはず。それでも、二人の出会いが不可能に思えたことを成し遂げる。その後の話として、二人が嫌う警察内の汚職を暴くエピソードにホッとするところ。それにしても、警官を告発する為にギャングの協力が必要だとは皮肉なものだ。これも持ちつ持たれつの関係だろうか?立場は違っても不正を嫌うもの同士、本当の友になれたのか気になる。

評価:moon1

シルク

Silk 19世紀のフランス。製糸工場で潤う村は、蚕の疫病に悩まされていた。軍人のエルヴェは妻を残し、美しい絹糸を吐く蚕を求めて世界の果て日本へと旅立つ。やがてたどり着いた異国の地、取引相手のもとで出会った少女に心を惹かれてゆく。

 美しい妻と日本で出会った少女との間を旅した男、軍人エルヴェの愛の邂逅を描く。マイケル・ピット、キーラ・ナイトレイに役所広司、中谷美紀など日本の俳優たちの共演が注目。どういったストーリーなのか気になるところ、舞台をフランスと日本に移しながら、主人公エルヴェとともに内に秘めた心のやり取りがみどころである。
 原作はイタリアのベストセラーとのことだが、まるで日本の作品ように映画としても叙情的な表現が目に付く。繊細に心を描いた作品に、どう解釈してよいのかわからないところも。意味の伝わらない部分が多いのではないだろうか。ゆえに、ここでのエルヴェはずいぶんと身勝手なものにおもえる。妻を残しての長旅。国へ戻っては遥か異国の少女を想う。これでは妻の立場がないのでは・・・。しかし、あまり描かれていない部分で勝手に解釈するならば、当時は陸路を数ヶ月かけての旅。しかも日本は幕末の混乱した時代である。命がけの旅の末、思いがけずに出会った安息の場は彼女たちであろう。そういえば戦地から村に戻ったときも、妻となるエレーヌと出会っている。でも、妻を残し危険な旅を繰り返すのはなぜなのか。少女とは言葉を交わすこともなかった、でも・・伝わる思い。まあ、エルヴェは利用されたのかもしれない。それほど人のつながりは繊細なものといえるだろう。
 もっとも、彼の人生は思いがけないことばかりのよう。最後の旅の後に日本語の手紙が届く。そして時代は移り、スエズ運河の開通が日本との距離を近づけた。もう危険な長旅は無用となったのに、エルヴェは少女を探すことはなかった。彼が求めたのは何だったのか?細い糸をたどるように真実に近づけば、そこにある想いは伝わってくるものの、なにか釈然としないものだ。もっとも、それが人の繋がり、そして愛の邂逅であろう。

ウォーター・ホース

Whorse 第二次世界大戦中のスコットランド。戦地へ赴任した父親の帰りを待つ少年アンガスは、湖のほとりで不思議な卵を見つけた。やがて孵ったのは見たことのない生き物。アンガスは密かに育てるものの、町に軍隊が駐留を始めたことで、ある騒動を巻き起こす。

 かつて世界を騒がせたネス湖のネッシー。心躍らされたものだが、あの有名な写真もトリックだったとわかり、夢は壊れてしまったものだ。でも、海獣伝説そのものは古くから伝わるものだとか。有名な写真の影に、こういったエピソードがあったならという架空の物語。昔を思い出し再び夢を見させてくれそうだ。
 物語の主人公は父親のいない孤独な少年アンガス。笑うこともなく心を閉ざしぎみ。そんな少年が偶然拾った卵は、この世に一頭しか存在しないという伝説の海獣ウォーター・ホースのもの。やがて卵から孵った生き物を“クルーソー”と名づけ母親から隠れて育て始める。なにか昔観たアニメを思い出したが、恐竜ではないのだろうか?孤独な境遇の2人(?)は心を通わすことになるわけで、そのあたりの騒動もほのぼのと笑え少々泣ける場面も。ただし友情を描いただけではないようだ。戦争中の話ということで、少年の心にも暗い影を落としている。アンガスの幸せな日々も、町に軍隊がやってきて一変してしまう。湖の丘には潜水艦を迎え撃つ砦が築かれた。これでは住みかを脅かされるクルーソーにとって人間は敵である。さらに写真で儲けようとする者、捕らえようとする者が現れ、はては潜水艦と間違われる始末。必死で守ろうとするアンガスをよそに、勝手な都合で心を傷つける大人たち。戦争は父親や友だちまでも奪ってしまうのか?一人の少年から見た現実に、明解に戦争を否定する作品なのだろう。クルーソーと帰らぬ父とを重ねて、少年が成長する物語が感動を誘う。子供から大人まで、いろいろと考えさせられるのではないだろうか。よくできた話が現実の世界とファンタジーを交錯させ、もしかして・・と思わせてくれるはず。たった一枚の写真の真相に夢を壊してしまうなら、伝説の海獣も逃げ出してしまうかもしれない。

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