ミッドナイトイーグル
戦場カメラマン西崎優二は、真冬の北アルプスで落ちる火球を目撃した。それは特殊爆弾を搭載した米軍の爆撃機“ミッドナイトイーグル”。日本政府は爆弾の回収に自衛隊の特殊部隊を派遣するものの、他国の工作員よって壊滅してしまう。
真冬の北アルプスを舞台に、武装集団と自衛隊との攻防が繰り広げられる山岳アクション。さしずめ自然の脅威と人為的脅威のコラボレーションといったところだろう。久しぶりの山岳アクションとスケールの大きさを謳っているだけに、まあ、よく出来た映像は楽しめるはず。でもよく観ると景色は真っ白だし、登場人物は少ないのが微妙なところ。
それはさておき、はたしてこういった事態が起こるかはわからないものの、日本の危機管理の現状を考えさせられる作品でもある。墜落した爆撃機が搭載していた特殊爆弾・・つまり核ということ、これが冬の山岳地帯で爆発したなら大規模な災害をもたらすという。しかも他国の工作員が潜入しており、これを起爆しようと企む。そんな非常事態にも、外交問題も絡んで公にすることができないあたり、日本の立場を揶揄しているようだ。現実に起きたなら、そのとき対処できるのか少々恐ろしくもある。
物語としては、偶然か?いや必然的に出会った3人の男たちは、悪天候で孤立したまま敵と対峙することになった。守るべき者のためにそれぞれの思いを抱き敵に立ち向かう。とはいえ、守るものは何か?そのために何をするべきか?国家として、人として究極の選択を迫られる。ここでの3人は過去を引きずっているわけで、それぞれの決断はドラマとしてのみどころである。西崎は、かつて戦場カメラマンであったが、カメラでは人を救えないのだと嘆いている。しかし、その写真に触発された人たちもいる。真実を追求する新聞記者の落合に、自衛隊で一人生き残った佐伯もまた、西崎の写真に影響を受けた一人である。戦場から離れた西崎であったが、皮肉にも戦争とは無縁と思われる日本で事件に遭遇することになった。大切な人を守らなければならないとしたら、そのとき手にするのは銃だろうか。しかし、銃だけでも人は救えないのは確かだろう。この大きな矛盾が悩ましい。
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