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November 2005

ブラザーズ・グリム

brothersgri 魔物退治で賞金を稼ぐグリム兄弟。成り行きから、呪われた森で姿を消した少女たちの事件を調べることに。森の中での想像を超えた事態に、数々の魔物を退治してきたはず!?の兄弟であったが・・・

 有名なグリム童話をモチーフに、作者のウィルとジェイコブの冒険を描いたファンタジー作品である。興味を引くのはグリム兄弟が賞金稼ぎであり、自作自演のペテン師であるあたり少し変わった設定である。この作品での兄弟は事件を解決しながら旅をして物語を書き綴っている、グリム童話の誕生秘話といったないようだ。実際のグリム兄弟も各地の伝承や民話を集めていたわけで、こうして創られたのか・・なんて思わせるがあくまでフィクション。そんな新たな解釈のグリム兄弟を演じるのはマット・デイモンとヒース・レジャーである。アクション物やシリアスな役をこなしているが、こういったファンタジーの世界でのコミカルな演技は新鮮な感じでみることができる。面白いのは物語の中に垣間見える童話の登場人物たちや見覚えのあるシチュエーション、「赤ずきん」や「白雪姫」といった誰しも知っている童話の世界である。物語とだぶらせたり散りばめられた童話の一コマを探してみるのも楽しめるところだろう。しかし実話であるならば注目できるが、この作品自体が童話の世界なのである。笑いとスリルを与えるだけの作品になっているようで残る余韻はないのかも。伝えるメッセージもみあたらない。童話とはいえよく考えれば残酷な物語だったりするわけで、もう少しシリアスな作品でも良かったと思うのだが、結局まるく収まるあたりはやはり童話の世界なのだろう。娯楽作品として気楽に楽しみたいところだ。そう、映像は十分にファンタジーの世界を表現している。
 ペテン師の兄弟が解き明かす謎、それは大きな嘘でできた物語。しかし、その中にあるわずかな真実。現実と交錯する精神的な世界かもしれない。この作品は現実を垣間見る大人のための童話なのだろう。実際のグリム童話にはどこか教訓めいたものがあって教育的なのだが、随分と昔に読んですでに忘れてしまったかも・・。今一度読み返してみたいと思えるが、深読みしてみれば案外真実が見えてくるかもしれない。

エリザベスタウン

eri_s シューズ開発プロジュエクトの失敗で、会社に莫大な損害を与えたドリュー。会社をクビになり自殺を考えたが、そのとき突然父の訃報が届いた。葬儀の為、遠く離れた小さな街“エリザベスタウン”を訪ねることに。街の人々との交流によって得たものは・・

 突然訪れる絶望、すべてを投げ出したい思い。死を考えることもあるかもしれない。でも、それって誰しもあることだろう。今作でオーランドが演じるのは、そんな普通の青年である。ただし、彼のは大きな失敗であるが・・。対して旅の途中で知り合うキルスティン・ダンストの演じるクレアは、決して悲観することのない前向きな女性である。この二人の出会い、そして田舎町の住人との交流が彼の心を癒してゆく。面白いのは、この街の住人たちの暖かさや素朴さ、派手に楽しく送り出す葬儀には笑ってしまう。その席での母親(スーザン・サランドン)のスピーチも笑いで盛り上げる。物語がラブストーリーならば本題から離れているようにも感じるが、この作品では重要なところかも・・。住人たちは父の死を悲しんでも決して悔んでいないのである。自然な死を受け入れているのだろう。それはクレアも同じかもしれない、ポジティブな考え方がとても自然な生き方にみえる。劇中、寂しさを埋める電話の相手だったドリューとクレアの関係が急速に縮まるあたり、ラブコメのような展開で少々照れくさい感じがした。このまま終わっては普通のラブストーリーなのだが、キャメロン・クロウ監督の作品にはちょっと深読みしたくなる。
 エリザベスタウンでの夢のような、そして短い滞在期間も終わり街を離れることに・・。現実に戻されるドリューは、ネガティブな思考がよぎりクレアと別れようとする。察したクレアは帰りの旅の指示を残していた・・。ちょっと唐突な展開であってたんなる恋物語でないのはこの作品のおもしろさだが、後半部分は取ってつけたような印象もする。そして帰り道、遺灰と共に旅をするドリューが見たモノは、アメリカの歴史であり成功と挫折の歴史ではないだろうか。自分の心の小ささを思ったはず。そんなドリューがこの旅の終わりに見つけたもの・・それは恋人クレアではなく命の尊さだろう。描かれるのは恋も含めて生きるという根源ではないのだろうか。

イン・ハー・シューズ

in 同窓会の夜、酔ったマギーは継母から家を追い出される。姉のローズの家に転がり込むが、そのだらしなさからついに喧嘩別れしてしまった。やがて知った祖母の存在、訪ねた先のコミュニティで老人たちとのふれあいで見つけるものは・・・。

 ルックスとスタイルが唯一の自慢のマギー(キャメロン・ディアス)は、職を転々としその日暮らし。一方、姉のローズ(トニ・コレット)は弁護士だが容姿にコンプレックスを持ち恋愛に臆病である。対照的な姉妹、そんな二人は互いに嫌悪感を抱いて反発してしまう。よくある姉妹の喧嘩かもしれない。それは伝わらない優しさ、些細なすれ違いなのだろう。そんな二人が本当の自分を探すストーリーである。
 物語のキーとなるのはタイトルにもある「シューズ」。ストレス解消に靴を買ってはしまい込んだままのローズ、勝手に姉の靴を履いて就職活動しているマギーである。靴を“自分に合った生き方”に例えるならば、理想を求めて夢見るだけのローズ。他人の人生に乗って生きているのがマギーなのだろうか。そう、二人は自分に合った生き方を見つけられずにいるのだろう。そんな折に判った祖母の存在、エラ(シャーリー・マクレーン)との出会いは二人のすれ違った時間を巻き戻す。それは現代の社会から失われつつあるコミュニケーション、かつての家族の姿ではなかったのか・・。物語の核となるのは、マギーがコミュニティでの老人たちとの交流から、自分の欠点を見つめ必要とされることに生きがいを見出すところだろう。はじめは他人などお構いなしの振る舞いから、やがてコミュニティの一員となる姿はコミカルであり、またホロリとさせる。そして仕事一筋のローズも、仕事を離れてみれば活きいきとした自分に気づく。しだいに輝いてゆくトニ・コレットの変身ぶりも面白い。そしてもう一人、シャーリー・マクレーンの演じるエラの存在感はさすが!作品を締める。
 はたして、この物語はマギーの話なのかローズの話なのか・・・。マギーは自分の靴を見つけることができたのだろうか?そもそも三人の出会いは、それぞれ気づかないふりをしていた“本当の自分”を確かめるものだったかもしれない。探し続けている“自分にあった靴”、それは案外身近にあるのかも・・。

コープス・ブライド

corpsebride ビクトリアとの結婚を控えていた気弱な若者ビクターは、リハーサルで誓いの言葉も間違える始末。森の中で一人言葉を繰り返すが、おもわず“コープス・ブライド”(死体の花嫁)に結婚の誓いを立ててしまった。突然死者の世界へと連れ去られることに・・。

 「ナイトメアー・ビフォア・クリスマス」以来のティムバートン監督によるストップモーション・アニメ作品である。それは一コマづつ撮影して、12時間で数秒のシーンしか作れないという。CGが多用される昨今にあって、なかなか観られない手作り感覚の作品である。決して新しい手法ではないのだが、昔の作品にはカクカクした動きがつきものだっただけに滑らかな動きには見入ってしまう。そんな製作過程を描きながら見てみればなんともいえない驚きがあり芸術的にさえ見える。たんなる人形劇でない細やかな表情、しぐさや背景との同期、すべてが自然に表現されている。そして演じるパペットたちは死者でありよく見れば少々おぞましい姿、ホラー映画になりかねないのだがどこか愛嬌があってなごまされる。そのあたりバートン監督のセンスであろう。さらに、ここで描かれる死者の世界はなにやら賑やかな、そして楽しそうではないか。バーがあって歌って踊る骸骨たち、死者たちに不気味でありながら人間味を感じるところだ。それに比べて地上の世界はしがらみだらけでなんとも窮屈、体面ばかり気にしてほんとうに必要な心は何処か忘れられている。息苦しさをビクターも感じていたはず。やがて死者の世界を楽しんだり、地上の世界に絶望して死者の世界へと気持ちが揺れる。
 朽ち果てた肉体、残るのは純粋な心だけなのか・・。楽しげな死者の世界だが、コープス・ブライドは満たされない思いを持っていたわけで生前の未練を断ち切れない。それは他の死者も同じだったのかもしれない。地上での生活とは逆転した、開放された暮らしこそ理想の姿だろう。しかしここに無いもの、それは愛である。対に描かれる地上はどこか暗い汚れた世界。でもビクターとビクトリアが互いを思う気持ち、それがすべてであって唯一の真実なのかも。コープス・ブライドが求めたものは婚約者だが、やがて気づいた他人を思いやる心、それが本当の愛なのだろう。薄暗い世界に明かりを燈すのは純粋な心、それがあれば楽しい世界になるのではないのかな。

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