奇跡のシンフォニー

Rush 両親を知らず施設で孤独に生きてきた少年エヴァン。彼には心に聞こえてくる音楽があり、生きる希望となっていた。ある日、音に誘われ施設を抜け出したエヴァンは、マンハッタンへたどり着く。そこでストリート・ミュージシャンと出会い、初めて楽器を手にした。

 音楽が導く家族の再会を描いたファンタジー。音楽に天性の才能を発揮する少年エヴァンを「チャーリーとチョコレート工場」の子役フレディ・ハイモアが演じて注目される。そのほかにも、ロビン・ウィリアムズなど共演者たちや、挿入される曲がとても魅力的である。
 物語は施設で育った少年が両親を探す旅をするというもの。しかし、なんの手がかりもないわけで、生存さえ知る由もないエヴァンは何を信じているのだろう。「きっと会える」と思うのは、心に聞こえる音楽でつながっているからという。あまりにも無謀な行動は、奇跡でも起こらなければ成しえないことだろう。それでも唯一の希望は、人知れず音楽の才能があったこと。風の音さえ心の中に音楽として聞こえてくるという。マンハッタンでの、街中にあふれる人の営みが音楽になり、曲になってゆくシーンは印象的だ。まさに人々の織りなすシンフォニーである。そう思えば、ただの雑音さえ詩的ですばらしい世界に見えてくるのではないだろうか。
 ただし、才能を生かすにも何もない少年である。旅の途中で出会う人たちが、運命を変えることになる。それぞれの想いが絡み合うなか、現実の世界を垣間見るようでドラマとして面白い。マンハッタンで身寄りのない子供たちを匿う、元ストリート・ミュージシャン。才能を知った神父は音楽院で学ばせてくれた。やがて楽器に触れ、音階を学び才能を開花させるが、それは初めて心を伝えるものを手にしたということ。彼の奏でる音楽は、どこかで聞いているかもしれない両親へのメッセージなのである。
 ここで両親の物語も同時に進行してゆくわけで、そこには過去の複雑な事情がある。ゆえに音楽以外に接点のない3人が再会できるのか、最後まで気を揉むところ。それぞれが音楽の世界へ戻った時、引き寄せられるように3人の距離が近付いていく。ジャンルは違っても彼らは音楽でつながっている。それ以前に家族はつながっているのだろう。はたして、すべてを理解できたのだろうか?言葉はいらないのだろうか・・。再会は上手くいきすぎのようだが、信じることの大切さが伝わってくる。まあ、それを信じてもよいのではないだろうか。ジャンルを問わず、音楽の素晴らしさを感じられる作品である。


評価:moon1

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インディ・ジョーンズ クリスタル・スカルの王国

Jones 歴史に隠された秘密を追い求める、考古学者のインディアナ・ジョーンズ。ある日、アメリカに潜入したソ連軍に捕らわれ、クリスタル・スカルに纏わる遺跡探しを強要される。機転を利かせて危機を脱した彼は、若き相棒と共に古代マヤ文明の遺跡を巡る謎に挑む。

 かつてのヒットシリーズが続々と復活する昨今、ついにこの男も帰ってきた。19年の時を経て続く冒険に、今回はどんなインディを見せてくれるのか気になる。もっともスクリーンの中には、以前と変わらぬ・・・いや、年を重ねて風格を増したヒーローの姿があった。もちろん劇中の時代も進行しているわけで、歳からすれば家庭を持ち、子供がいてもおかしくないのだが・・。まあ、今回はそのあたりの謎?も見どころである。
 時代背景は1950年代、大国が技術力を競い合う時代でもあり、当時を偲ばせる描写が面白い。そこでソ連軍の部隊がインディを使って見つけたい秘宝とは、クリスタル・スカルにまつわる伝説だという。そこでは神秘のパワーを得られるとか・・何とも胡散臭いお宝である。噂では13個揃えば異次元への扉が開くとも。画して舞台はアメリカからペルーへと、古代マヤ文明の遺跡を巡る冒険がはじまる。
 このシリーズでは、歴史の謎に独自の解釈が面白いところ。さらにスリリングなアクションも楽しませてくれる。しかし、今回は古代のロマンよりも、SF作品のような雰囲気が漂い、スピルバーグらしさが随所に見える作品となっている。オーパーツの水晶ドクロに、まさかロズウェル事件まで絡むとは・・・。そのあたりのゴシップを知っていれば、もっと楽しめるはず。
 そして豪華キャストにも注目である。なかでもソ連軍大佐としてケイト・ブランシェットが登場、悪役ぶりがイケている。さらにマットと名乗る若き相棒の登場がミソであり、1作目のヒロイン、マリオンの再登場も意外なところ。このあたりインディ・ジョーンズの20年を埋める作品なのだろう。前作で見えた親子のドラマがこんな形で引き継がれるとは、シリーズを観てきたものにとっていろんな見どころ満載であった。
 ところで彼の冒険は終わったのだろうか?空白を埋めて余りある活躍に、まだまだ世界の謎を解き明かしてほしいと思える。もっとも、この仕事を息子に譲る気はなさそう。新たな冒険がはじまりそうだ。


評価:moon1

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ナルニア国物語 第二章 カスピアン王子の角笛

Narnia2 ナルニアから戻って1年が経ち、ペベンシー兄妹はロンドンで暮らしていた。ある日、地下鉄の駅で何かにひき寄せられるように、再び別世界へと入り込む。そこはテルマール人の侵略により滅亡寸前の1300年後のナルニアだった。彼らを呼び戻したカスピアン王子とともに戦いに臨む。

 C・S・ルイスのファンタジー小説を映像化した第2弾。前作「ライオンと魔女」に続く作品として、ペベンシー兄妹は再びナルニアへと旅立つ。やはり見どころの一つとして、最新の映像表現により不思議なファンタジーの世界を体験させてくれる。しかし、2度目のナルニアともなれば、物言う動物たちも自然に感じられる。映像の驚きは薄れてしまい、少し物足りなく感じてしまった。次回作があるならば、さらなる驚きを期待するところだろう。  
 物語としては、前作より続いて4兄妹の活躍が描かれる。現実世界で1年を過ごした兄妹が今回訪れたのは1300年後のナルニアである。人間のテルマール人が支配し、かつての住人は森の奥へと逃れ、すでに存在さえ忘れられている。アスランも去り、魔法の失われた世界だという。もはやパラレルワールドも現実世界と変わらないものになってしまった。暗殺を逃れたカスピアン王子は、角笛によって「伝説の4人の王」を呼び戻したことで、兄妹は再びナルニアの命運を賭けた戦いへと臨むことになる。
 前作からの流れを追いかけるのがシリーズものの楽しみ方。そのあたり、原作での2巻目にあたるエピソードは省略されていて分かりにくい。それは現実世界に戻る前、兄妹たちはナルニアを繁栄させ黄金時代を築いていたという。1300年後の今では「伝説の4人の王」なのである。なにやら複雑なところだが、元の世界に戻ったときには姿も子供になっていた。しかし微妙な年ごろでもあり、ここでナルニアのために自ら戦いに臨むあたり、心はすでに大人のようだ。でも、今回は人間との戦い、いや、大人との戦いかも?事は上手く運ばない。二つの世界を挟んで、子供たちのさらなる成長を描くストーリーとして興味深いところだろう。
 そういえば、再びナルニアへ来たとき、末っ子のルーシーには見えたアスランを皆は探そうとせず、頼ることもしない。自分の力を信じているのか、それとも、未知の力や存在を信じなくなっていたのだろうか。そこが大人と子供の狭間なのだろうか?ナルニアは子供しか行けない世界、長男のピーターと長女スーザンは、もう行くことはできないという。子供たちに勇気を与える物語。少々、難解なストーリーに迷子になりそうだ。


moon2

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ランボー 最後の戦場

Rambo タイの奥地で、今はただ淡々と生きるランボー。ある日、ミャンマーで迫害されているカレン族の村へ、アメリカの支援団体を案内した。しかし、期限を過ぎても戻らず、救出のために傭兵部隊が送り込まれる。同行したランボーは、村の惨状に怒りを爆発させる。

 幾多の戦場を戦い抜いたジョン・ランボー。すでに彼の戦いは終わったかに見えたが、ついに沈黙は破られた。20年ぶりとなる新作では、心に秘めた怒りは何処にむけられるのか気になる。まあ、世界中ではいまだ紛争が絶えないわけで、そこでランボーの出番となった。一人で大勢を相手に繰り広げるアクションが見どころのシリーズも、今回は少々趣が違う。タイトルのとおりに彼の戦いは最後といえるものだろう。スタローンが自ら監督を務めるなど、かつてのヒーローがけじめをつける作品となっている。
 舞台となるのは、軍による少数民族の迫害が行われているミャンマー。時代とともに世界情勢を映してきた作品は、かなりタイムリーな内容を描いている。ゆえに、重いテーマを含みつつヒーロー的な要素の前作と比べれば、なにぶん生々しさが強調されているようだ。飛び交う銃弾に、飛び散る血。まるで実際の戦場はこうなのだと言わんばかりである。もはやアクション映画として、素直には楽しめないレベルかも。
 それでは、シリーズ最後の作品として何を伝えるのだろう。20年の時を経てもランボーの心は彷徨っていた。故郷を捨てタイの奥地で生きるのは、変わらぬ世界への絶望か?それとも自身への疑問なのだろうか。歴戦の勇者も、戦う意味を自らに問いかけている。もっとも、この地では生きる為、自分のために戦っていた。シリーズを通して問われる戦う意味・・・劇中では、それぞれの事情を抱えた傭兵たちが登場する。彼らは何のために戦っているのか?そして、ランボーにとっての戦いとは・・・。
 言われなき迫害を受ける村人を前に、その怒りは戦いへと駆り立てる。語らずとも怒りの目を向ける姿が印象的である。それは悪に対してなのか、観るものにたいするメッセージなのだろうか。「どう生きるのか、お前が決めろ」と言い放つランボーに、もはや心の迷いはないのだろう。彼の中の戦争は終わった・・・ならば帰るだけである。長きにわたるシリーズもついに終焉、思えば世界も変わったものだ。


評価:moon2

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チャーリー・ウィルソンズ・ウォー

Charlie 酒と女に目がない半面、平和を愛する心は人一倍の下院議員チャーリー・ウィルソン。ソ連の侵攻を受けたアフガニスタンの惨状を知った彼は、美人セレブのジョアンやCIAの諜報員とともに、極秘の作戦をはじめた。

 80年代にソ連の侵攻を受けたアフガニスタン。すでに昔の話であるが、激しい抵抗にソ連軍は撤退に追い込まれた。その背景には、秘密裏にアメリカの支援があったのは周知のところである。しかし、意外な人物が絡んでいたとはあまり知られていない。物語の舞台となる時は東西冷戦時代でもあり、表立った支援のできない国の事情がある。まあ当時は公にも出来なかったはずで、ここでは知られざる実話を描いている。
 チャーリーは美人秘書たちに囲まれ、朝から酒を飲むという型破りなお気楽議員である。おおらかな性格から人に好かれ、頼み事を断れない。そんな彼が起こした行動のギャップが面白いところ。現実の戦争ゆえに笑ってはいけないだろうか・・・でも、なんだか笑ってしまう。このときの世界情勢や戦争自体が、冷静に見ればコメディのようにも思える。
 たった一人で世界を変えた・・は言い過ぎかもしれないが、腰の重い政府をよそに、行動力で小国の支援をはじめた。行動なくして実現できないことでもあり、ある意味で世界を動かしたのは確かだろう。もっとも、彼を動かしたのはジョアンなのかも・・・。チャーリーは国防歳出委員会のメンバーを味方につけて資金を捻出、CIAと組んで他国から武器を調達する。信じがたい話も、彼でなければ成しえなかったかもしれない。その後の話では、影の功労者として、これまた秘密裏にCIAに表彰されている。
 しかし、最後にチャーリーは嘆いている。巨額の資金を投入して戦争に勝利しながら、戦後の復興に資金を捻出できなかったこと。内戦を経たその後の情勢を見れば、勝利の意味を見出せないはず。結果、アメリカが武装勢力の攻撃にいたったのは記憶に新しいところだろう。
 まあ、一議員にできることはここまで、ともいえる。現在の状況に照らし合わせれば、はたして教訓として生かされているのだろうか。たった一人で世界を変えた・・・・悪いジョークに思えてきた。


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最高の人生の見つけ方

Bucketlist 家族を養うため仕事に身を捧げてきたカーターと、一代で財産を築いた実業家エドワードは入院先の病院で同室になった。検査の結果、互いに宣告されたのは残り少ない余命であること。意気投合した彼らは、人生でやり残したことをリストに書き出し旅に出る。

 もしも余命わずかと宣告されたなら、どう生きるだろう。これまでの人生を振り返ったとき、はたして納得できるものだろうか。「やり残したことを全て叶える」大胆で素朴な発想は前向きな生きる力を感じてしまう。モーガン・フリーマンにジャック・ニコルソンの名優コンビが織り成すドラマは、笑いあり、涙ありの痛快な感動を与えてくれるようだ。
 原題は「The Bucket List」まあ、棺桶に入る前にやっておきたいことを書き出して実行するというもの。自動車の整備工と大富豪の実業家、立場こそ違っても仕事一筋に生きてきたわけで、これまでの人生に心残りもあるはず。突然の死の宣告に、仕事を離れ人生と向き合ったとき、残された日々をどう生きるのか。その時が来なければ考えは及ばないかもしれない。愉快なのは、大富豪であるエドワードは、カーターとともに医師の忠告を無視して旅に出る。そのあたり財力あればこそのやりたい放題である。世界中を飛び回り豪華なディナーに舌鼓、スカイダイビングにカーレースを体験と、次々とリストを実行してゆく。無謀なほどに吹っ切れた老人の姿は痛快だ。人生を楽しむことに年齢など関係ないのだと思える。まあ、こんなことができるとはうらやましい限りだろう。
 二人は、残された日々に一生分の夢を凝縮した。やがて気付くのは本当にやり残したこと、世界中を探しても手に入れることができないものである。旅で手に入れたものはかけがえのない友であり、大切なものは家族であった。結局、最高の人生は身近にあったということかも。その心しだいであろう。時が過ぎ、彼らが迎える死は決して悲愴なものではないのだが、それを気付かせてくれたのが死であったのが皮肉なものだ。
最高の人生とは・・その答えは出そうにない。でも、人生を楽しむことはできるのではなかろうか。いくつ夢を叶えることができるのか、リストに書き出してみたくなった。


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ノーカントリー

Nocountry テキサスの荒野で狩りをしていたモスは、死体とともに麻薬取引に絡む大金を見つけた。危険を感じながらもそれを持ち去った彼は、シガーという謎めいた殺し屋に追われることになる。

 犯罪に絡む大金を手にした男と、非情な殺し屋の攻防を描いたサスペンス・スリラー。一見、単純な物語を通して、アメリカの世相を冷ややかに風刺している。監督は独特の作風で評価の高いコーエン兄弟であり、何気ないシーンにも意味を見出したくなる。そのあたり、不気味な殺し屋シガーの姿が釈然としない世界を映しているようだ。それを面白いキャラといってはなんだが、コミカルに見えて怖さを感じさせる不思議な存在である。彼は道理が通らぬことでも、自らの信念に従い約束を守る。コイントスで相手の運命を決めるなど、行動も殺し屋らしからぬところ。そして牛を殺す為に使われるエアガンを武器に、高圧ボンベを持ち歩く姿は異様な雰囲気を醸し出している。ずうっと無表情なところが、さらに恐ろしい。
 対して偶然の幸運から一転、殺し屋に追われるモスもただものではなさそう。親切心だろうか?それとも口封じか?瀕死の男を探して殺しの現場へと戻っている。そのことが自ら墓穴を掘るはめになるとは皮肉なもの。それでもベトナム帰還兵というだけに、逃亡しながらもシガーの行動を読んで対決を挑んでいる。無謀な逃亡は常軌を逸し、次第にシガーと似てくるようでもある。
 事件が起きた西部の荒野。取引される金と麻薬、それに絡む暴力。そこにはルールも存在しない。二人の駆け引きを見ているうちに、善悪はどこかに忘れられたかのようだ。事件を追う年老いた保安官ベルをとおして、現在の世相を嘆いている。その結末をどうとらえるべきか、物語には意味があるようでないような。無情な世界を見るようで、それ自体が重いテーマに思える。もっとも、アメリカの事情ゆえにわかりにくい。いろいろと解釈できるのではないだろうか。この物語が時代を映すなら、次の時代にはどんな殺し屋が現れるのだろうか。


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NEXT -ネクスト-

Nex ラスベガスで二流のマジックショーを演じるクリスは、じつは未来を予知する能力を隠し持っていた。そのころ、ロサンゼルスでは核爆弾が仕掛けられ、捜査に行き詰ったFBIのカリーはクリスに協力を依頼する。しかし、彼が予知できるのは2分先の未来でしかない。

 未来を予知できる能力。そんな力があったなら、すべてが思い通りにいくのだろうか?テロリストV.S超能力の対決を描くアクション作品は、どこか意味深でもある。
 ここでのクリスは二流のマジシャンを演じていて、稼ぎの足りない分はギャンブルで控えめに稼ぐ。それ以上のことをしないのは、能力を知られては悪用されるためか。はたまた他人の未来が見えては、まともに付き合えないからだろうか。いずれにしても他人と違うことが彼を孤独にしている。クリスにとっては厄介な能力ということである。もっとも、見えるのは2分先の未来であって、将来の自身についてはわかるはずもない。
 一方で彼の能力に気付いたFBI捜査官のカリーは、強引な手を使っても捜査に協力させようともくろむ。僅かなクリスの能力に過大な期待をしているわけで、テロリストもクリスを危険視するあまり、抹殺しようとしている。まあ一般人(?)にとっては夢のような能力にちがいはない。アクションも含めて、ここで三者の駆け引きがスリリング。一瞬先に迫る危機を、直前でかわしてゆく様が何とも面白い。やはり、すごい能力だ。
 もう一つのドラマとして、クリスが憧れる女性との出会いが描かれる。それは、彼の頭に時おり浮かぶ知らない女性。未来を予見できても、なかなか出会えないあたり能力も使いかたしだいだろう。彼女との出会いがクリスを変えてゆくわけで、未来を変える要因はいくつもあるということ。物語としては最後の思わぬ展開が微妙かも。観る側がそれを予見できるかはさておき、先が見えるのは良いことなのか?物事が起こる前に騒いでみても、クリスも言うように「正直者が馬鹿をみる」ことにもなりかねない。2分先の未来とは微妙だが、結果を良い方向へと導けるのか?ときにはずっと未来を予想しなければならないのだろう。そこに超能力はいらないかもしれない。
はたして、クリスが見た未来は予見なのか?妄想なのか?もっとも、未来は行動しだいで変わってしまうようだ。


評価:moon2

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紀元前1万年

10000 遥か遠い昔の物語。狩猟部族の青年デレーは、美しい娘エバレットと将来を誓い合う。ある日、村は謎の一団に襲われ、大勢の民が連れ去られてしまった。デレーはエバレットを助けるために、未知の世界へ旅立つ。

 「インディペンデンス・デイ」「デイ・アフター・トゥモロー」のローランド・エメリッヒ監督による、有史以前の世界を描いた作品。毎回ジャンルは違っても、相変わらずの映像マジックを楽しませてくれる。これまで地球規模の危機が描かれてきたわけで、その中には恋や友情など、さまざまなドラマを見ることができた。今回の遥か紀元前1万年の世界でも、いろんな要素をもったドラマが繰り広げられている。せっかくのドラマを楽しむには、時代考証など深く考えないほうがよさそう。まあ実際に見ることのできない世界ゆえに、遥か昔に想いを馳せてもよいのではなかろうか。マンモスの群れに果敢に挑む人類など、いかにもといった映像を楽しみたいもの。
 そういった時代で繰り広げられるのは、狩猟部族の青年の成長を描いた物語である。デレーは旅を続けるなか、部族長の父の失踪の意味を知り、仲間の信頼、自らの勇気を勝ち得えてゆく。はたして最愛のエバレットや仲間を救い出せるのか?この時代でも現代と変わらぬドラマが進行しているのが不思議な感じだ。よくある英雄誕生のストーリーのようでもあり、1万年前ということを忘れてしまうところだ。
 それにしても何ゆえ1万年前なのか。舞台となる1万年前とは、環境が変わりマンモスが絶滅したとされるころ。物語の背景として、狩猟部族は大きな転換を迫られている。一方で文明の進んだ部族が狩猟部族を奴隷とし、彼らが恐れ敬うマンモスさえも服従させている。この時代で繰り広げるドラマは、どこか現代の情勢にも重なってくる物語であろう。一人の勇者の登場により自由を勝ち取るという、かなりアメリカ的なのが気になる。前の2作を合わせたような、いろいろと盛り込まれた内容にまとまらない部分も・・・。劇中では、激変の時代を多くの部族が協力しあうことで生き延びた・・・ということだろうか?もちろん実際のところは定かでない。でも、その時代を生き抜いてきた人類である。何が必要か?学ぶことができるだろうか。


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大いなる陰謀

Lions_for_lambs 上院議員アーヴィングに呼び出されたジャーナリストのジャニーン。それはアフガニスタンで始まる対テロ作戦の情報と引き換えに、好意的な報道をするように持ちかけるものだった。しかし、時を同じくして開始された作戦は、思わぬ事態に遭遇していた。

 9.11以降、テロとの戦いが叫ばれて久しいものの、いまだ終わりは見えない。この作品が突き付けるのは、対テロ戦争の裏側と、それに命を懸ける兵士の現実である。はたして真実を知ることはできるのか?情報は操作され、さまざまな思惑も絡んでいる。伝えられる情報は正しいとは限らないのだろう。ここでは野心を抱く上院議員アーヴィングが、作戦情報のリークと引き換えに、好意的な報道をジャーナリストにもとめた。先の戦争報道を反省するジャニーンである。そこに裏があることを読み取り、何を報道すべきか苦悩している。真実を伝えること・・、それは彼女の戦いであろう。
 別の立場では、無気力な学生を導こうとする大学教授のマレーの姿がある。この作品の監督でもあるロバート・レッドフォ-ドが扮する役どころは、かつての戦争の経験から、学生を・・そして社会を良い方向へ導こうと苦慮している。駄目な学生を諭す場面が物語の要所で挿入されているわけで、それは見ている側へのメッセージのようである。
 実際に戦う兵士の立場をみれば、アフガニスタンで始まった作戦には、マレーの教え子で優秀な学生アーネストとアリアンがいた。二人は討論の場で提案した考えを行動に移し、軍への入隊を志願している。しかし、彼らの理想に対して現実は厳しい。作戦は思わぬ事態に遭遇し、敵地に取り残される二人である。大義のもとでは小さな犠牲なのだろうか。正義とは?犠牲の上に成り立つものは?戦う意味が見出せず釈然としないものを感じるはず。アーヴィングの行為は、大統領選出馬への足掛かりとして、まさに陰謀といえそう。戦場の兵士の立場では、「羊たちに率いられたライオンたち」と皮肉った原題の意味が的を得ているようだ。
 ここでは政治家にジャーナリスト、大学の教授と学生をとおして、それぞれの戦いを見ることになる。映画の中の話ではないのは確かなようで、現実のことであれば彼らは何と戦っているのだろうか。もっとも、それは一国だけの話でもないし、世の出来事を見るかぎり決して他人事には思えないものだ。


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