パブリック・エネミーズ
1930年代、大恐慌に見舞われたアメリカで、銀行を襲撃し警察に捕まっても脱獄を繰り返すジョン・デリンジャー。独自の美学を貫き、人々からヒーロー視される一面も。逃亡を続けるなか、警察の包囲網を潜り恋人ビリーに会いに行く。
大胆不敵、ヒーローでありアウトロー、実在の銀行強盗“ジョン・デリンジャー”の波乱に満ちた生き様を描いた作品。とはいえ、馴染みのない人物ゆえに、まるでフィクションのようだ。白昼、堂々と銀行を襲撃するという、滑稽なようでも、そんな時代もあったのだと、つくづく変化の速さを感じてしまう。
ここではヒールな役を演じるジョニー・デップがはまっていてカッコいい。「金持ちの金しか奪わない、仲間を裏切らない、愛した女は最後まで守る」という独自の倫理はヒーロー的に映る。でも、犯罪者の彼らが自由を謳歌していた時代も、そう長くは続かないのも歴史のとおり。逃亡しながら犯行を繰り返す彼は、アメリカ初の「社会の敵(パブリック・エネミー)No.1」として指名手配されるわけである。州を跨いだ犯罪の捜査チームが創られ、犯罪者には容赦なく発砲する。この映画の中では変わり行く時代が浮かび上がる。法律や、倫理、人々の関心も変わって行くなか、現代につながるアメリカの倫理観が見えてきて興味深い。
「今日が最高なら、それでいい」という生き方のデリンジャーに対して、社会や犯罪組織も変わってゆく。はたして「社会の敵」とは・・・。変わらぬ者と変わる社会のギャップが広がったとき、悲劇的な最後を迎える。もっとも、デリンジャーにしても愛する者のために変わろうとしていたのかもしれない。変わらぬモノもあるなか、時代の変化を象徴するようで物悲しい。
それにしても、今の時代にこの映画って、なんだか皮肉っぽい気もする。題名が複数形ゆえデリンジャーと仲間たちのことに思えたが、社会の敵とは見方によって違ってくるかもしれない。移り行く時代の中で、「社会の敵」はどう変わるのだろうか。 (-_-X)
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